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JIBSNセミナー2026
「境界地域の未来にむけて」:小笠原にて開催

2026年10月3日(土)、小笠原地域福祉センターにて「JIBSNセミナー2026」が対面およびオンラインのハイブリッド形式で開催されました。本セミナーは「境界地域の未来にむけて」をテーマに掲げ、境界地域研究ネットワークJAPAN(JIBSN)の主催により実施されました。北海道から沖縄までの境界自治体、NPO法人国境地域研究センター会員、小笠原村民を始め、40名が会場で参加し、オンライン視聴も30名を超えました。セミナーは、代表幹事も務める渋谷正昭村長による歓迎スピーチで幕を開けました。

第1部「国境地域の移住定住について」(司会:勢一智子西南学院大学教授)では、全国の国境離島・境界地域から集まった自治体関係者により、移住・定住促進のリアルな課題と成功事例が共有されました。竹富町からは、地域おこし協力隊の実体験を交え、仕事は移住の入口となる一方、定住には住居や子どもの教育環境の整備が不可欠とする課題が報告されました。稚内市からは、冷涼な気候を活かした夏場の短期移住やスポーツ合宿の誘致など、「涼しさ」のブランド化を通じた展開の可能性が示されました。

島市からは、相談体制の充実により1200人以上の移住者を受け入れた実績に加え、しま留学や五島日本語学校の開設など、多角的な人口減少対策が紹介されました。地元の小笠原村からは、転出超過による人口減少という課題に対し、移住体験ツアーの実施や「小笠原仕事図鑑」による情報発信など、持続可能な島づくりに向けた取り組みが説明されました。

第2部「境界地域研究ネットワークのこれから」(司会:池直美北海道大学教授)では、設立15周年を迎えるJIBSNのこれまでの歩みを冒頭で古川浩司中京大学教授が振り返り、サプライズゲストとして礼文町観光協会の川村長事務局長が挨拶をしました。本セッションは全国の境界地域が今後どのように支え合い、未来へ繋ぐかについて討論を行いました。

最初に、JIBSN初代代表を務めた外間守吉元与那国町長がJIBSNが設立されるまでの与那国島の経緯をご自身の体験を交え、ネットワークができる背景を説明しました。次いで設立メンバーの一つである根室市からは、ロシア情勢の変化による影響が続く中、「エトピリカ文庫」をはじめとするネットワークを通じた情報交換や、共通課題に対する議論の継続が重要であるとの指摘がなされました。

次いで同じく設立メンバーである対馬市からはこのネットワークの重要性と将来への期待を個人的な思いも込めて強調されました。途中から加盟したとはいえ、すでにセミナーのホストも務めた標津町からは、小規模自治体が直面する構造的課題に対し、既存の広報連携や先進事例のベンチマーク、オンライン研修といったコストを抑えた「スモール施策」の有効性が提案されました。

その後の全体討論では、事務局を担う岩下明裕長崎大学グローバルリスク研究センター長のコメントを受け、各自治体、大学教員、NPO関係者、そして地元小笠原の参加者との間で意見交換がなされました。終了後の懇親会では、渋谷村長自ら、地元の伝統芸能ともいえる南陽踊りを披露するなど、未来にむけてネットワークを紡ぐ気持ちが参加者全員に共有されました。次回は2027年10月に札幌で開催される予定です。

(岩下明裕)