JIBSNセミナー2023「境界地域の移住と観光を考える」
2023年10月21日に北海道の標津町で開催された境界地域研究ネットワークJAPAN(JIBSN)セミナー2023「境界地域の移住と観光を考える」が無事終わりました。前年の竹富セミナー(石垣市竹富町役場庁舎で開催)を上回る50名を超える参加者が全国から集まりました。最も遠くからの登壇者は与那国町、竹富町の方々ですが、同じ道内とはいえ、陸路8時間をかけて来られた稚内市の存在も忘れてはなりません。境界自治体、学術機関で構成されるJIBSNですが、副代表を務めるNPO法人国境地域研究センターの会員も多数参加し、近年とくに一般市民にも広く開かれたものとなっています。
冒頭、代表幹事の工藤広・稚内市長のメッセージ代読から始まり、ホストの山口将悟・標津町長のご挨拶、来賓として大地みらい信用金庫の遠藤修一理事長のお言葉と続き、オンラインによるゲストとして沖縄県多良間村からの報告がありました。
セッション1は「移住」がテーマで、久保実・五島市副市長、伊賀敏治・対馬市しまづくり推進部長、西山一也・標津町企画政策課係長が登壇し、今野直樹・礼文町副町長、渋谷正昭・小笠原村長がオンラインで報告されました。
セッション2は「観光」に焦点をあて、竹本勝哉・根室市副市長、青木秀貴・稚内市企画総務部課長、田島忠幸・与那国町企画財政課長、高橋優人・竹富町自然観光課係長が登壇し、最後は再び渋谷村長がオンラインで発言されました。セミナーは、NPO法人国境地域研究センターの田村慶子理事長の挨拶をもって閉会となりました。
セミナーにあわせて造成されたボーダーツーリズム、「内なる国境(くにざかい)ツアー」も盛況で、セミナー当日の午前中は、北方領土館、ポー川史跡自然公園、標津サーモン科学館を回るとともに、元島民の福澤英雄さんのお話を聞きました。翌日は羅臼町に足をのばし、羅臼町郷土資料館、国後展望台などを廻りましたが、一年で数えるほどしかないほどの好天にめぐまれ、国後島がくっきりと崖までみえ、参加者一同、興奮しました。脇紀美夫・元羅臼町長/全千島歯舞諸島居住者連盟理事長の講話を聞く機会もあり、境界地域の状況や北方領土問題に関わる諸問題について多くを学びました。
ツアーは知床峠を越え、斜里町経由で中標津空港に向かいましたが、途中、路上で熊の親子に遭遇するなど、サプライズ満載の旅となりました。もちろん、連日、ほたて、ほっけ、シャケ、そして何よりもイクラに舌鼓を打つとともに、差し入れの花咲ガニや根室の銘酒北の勝(しぼりたて)での懇親会はツアーのハイライトとなりました。
天気、案内者、料理、この三拍子がツアー成功のカギですが、ここまでパーフェクトな旅はあまり記憶がありません。今回のセミナーを組織してくださった標津町のみなさまと、40人を超えるという想定外の人数となったグループを一人添乗でさばいてくださったビッグホリデー(株)には心よりお礼申し上げます。
(岩下明裕)