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竹富町主催・地方自治体の海洋政策に関するシンポジウム —海域管理のための財源を考える —
2013年2月1日、沖縄県石垣市の南の美ら花ホテルミヤヒラにて「地方自治体の海洋政策に関するシンポジウム-海域管理のための財源を考える」が開催されました。本シンポジウムは、境界地域研究ネットワークJAPAN(JIBSN)に加盟している沖縄県竹富町が主催し、JIBSNも海洋政策研究財団(OPRF)、日本海難防止協会(JAMS)とともに後援団体として協力しました。
主催者である竹富町の川満栄長町長の開会挨拶と沖縄県企画部の比嘉徳和企画調整統括官の挨拶で幕を開けた今回のシンポジウムは、沿岸・離島自治体における海域管理とその財政問題に焦点を当て、同様の問題を抱える全国の自治体との連携を図るために企画されたものです。
海洋政策研究財団の寺島紘士常務理事による基調講演「わが国の海洋政策と海洋基本計画」では、20世紀後半の海洋をめぐる変化を受けて開始された日本における海洋立国の実現の取組(例:海洋基本法、沿岸域の総合的管理)の現状と課題が説明されました。続いて「沿岸域における地方自治体の役割と法体系」と題し、放送大学の来生新副学長が、現行法制度の下で市町村が海域に対して持つ権限を確認した上で、より良い管理のための立法的提言(沿岸域の海域、沖合の一定距離までを、画一的に市町村の区域に編入する措置をとる)を行いました。そして関西学院大学の小西砂千夫教授が「地方交付税~沿岸自治体における財政需要の考え方と手法~」と題し、現行の地方財政制度の観点から、竹富町の地方交付税の算定方式に海域面積を組み入れようとする試みに対する課題として、行政事務や財政需要を明確にする必要性を指摘しました。
講演の後、海洋政策研究財団の脇田和美研究員がコーディネーターを務めるパネルディスカッション(沿岸・島嶼自治体はどのように海を管理すべきか)では、川満町長と講演されたお三方に、対馬市の財部能成市長、鹿児島県与論町の元井勝彦総務企画課長、石垣市の中山義隆市長と与那国町の外間守吉町長(JIBSN代表幹事)も加わり、各自治体の海洋政策の取組事例の紹介とそれに基づく意見交換が行われました。
最後に、私が閉会挨拶として、竹富町のこれまでの活動と今後の取組姿勢に対して敬意を表すると同時に、今回のシンポジウムを通じて各自治体がさらなる連携を続けて要請し続けることが、2010年の竹富町海洋宣言にある「離島の思いは黒潮の流れとともに全国へ・・・、全世界へ」につながる旨を発言し、本シンポジウムは幕を閉じました。
会場には、先述した自治体関係者に加え、東京都御蔵島村、三重県鳥羽市、鹿児島県十島村など離島を抱える市町村関係者及び竹富町民を含む130人以上の人々が来場し、関心の高さを伺わせました。ちなみに、本シンポジウムの様子は翌日の八重山毎日新聞や八重山日報でも取り上げられました。
なお、本シンポジウムに参加した自治体の中で、与那国町、対馬市及び竹富町はJIBSNに加盟しています。したがって、今回の問題に関してさらなる挑戦を続ける竹富町並びに連携市町村を支援すべく、JIBSNにおいてもその活動の一つの柱としてこの問題をより積極的に取り上げたいと思っています。
(古川浩司)
(2013.02.12 up)